1on1での「心身の健康」の確認方法とポイント

部下の「いつもと違う」に気づくためのコミュニケーション術

1on1ミーティングにおいて、部下の心身の健康状態について対話することは、単なる福利厚生的な配慮にとどまりません。それは、部下のパフォーマンスを継続的に引き出し、バーンアウト(燃え尽き症候群)という静かな危機から彼らを守り、そして何よりも、上司と部下の間に揺るぎない信頼関係を築き上げるための、マネジメントにおける極めて重要な基盤です。
  • パフォーマンスへの影響: 心身の不調は、集中力の低下や仕事の質の低下に直結します。早期にサインを察知し、ケアすることが重要です。
  • 変化のサインの早期発見: 定期的に状態を確認することで、「いつもと違う」という小さな変化に気づきやすくなります。これが、メンタルの不調や離職の兆候を早期に発見するきっかけになることもあります。
  • 信頼関係の構築: 「自分のことを気にかけてくれている」と部下が感じることで、心理的安全性が高まります。業務上の課題や悩みも相談しやすくなり、より率直なコミュニケーションが可能になります。

話を切り出す際のポイントと具体的な質問例

単に「元気?」と聞くだけでなく、部下が安心して話せるような聞き方や雰囲気が大切です。

  1. 話しやすい雰囲気を作る
    「最近、急に暑くなってきたけど、体調崩してない?」
    「今週は少し忙しそうに見えるけど、ちゃんと休めてる?」
  2. 具体的な質問で状態を尋ねる
    漠然とした質問よりも、具体的な行動や状態について聞く方が、部下は答えやすくなります。

睡眠・休息について

人は、相手が心を開いてくれない限り、自分から心を開くことはありません。信頼関係の構築は、常に上司の自己開示から始まります。

  1. 「最近、よく眠れていますか?」
  2. 「週末はリフレッシュできましたか?」
  3. 「夜遅くまで仕事をしている日が多いようだけど、睡眠時間は確保できていますか?」

睡眠は、集中力、判断力、創造性といった業務パフォーマンスに直結する最も基本的な健康指標です。睡眠の質や量について尋ねることは、部下が心身ともに健全な状態で仕事に取り組めているかを確認する、シンプルかつ効果的な方法です。

業務負荷・ストレスについて

信頼の根幹は「この人は言っていることとやっていることが同じだ」という一貫性にあります。

  1. 「何か困っていることはない?」
  2. 「業務量が多くて、負担に感じていることはありませんか?」
  3. 「最近、仕事で特にストレスを感じることはありますか?」
  4. 「仕事とプライベートのバランスはうまく取れていますか?」

これらのアプローチは、部下が直面している困難を表面的な問題として処理するのではなく、その根本原因に共に向き合い、エンゲージメントと信頼関係をより一層深めるための、極めて効果的なコミュニケーションのあり方と言えるでしょう。

モチベーション・精神面について

部下が勇気を出して伝えてくれた「本音(たとえそれがネガティブな意見や反対意見であっても)」をどう受け止めるかで、今後の関係性が決まります。

  1. 「最近、仕事をしていて楽しいと感じる瞬間はありましたか?」
  2. 「逆に、ちょっと気分が乗らないなと感じることはありますか?」
  3. 「もし何か不安なことや心配なことがあれば、いつでも聞かせてくださいね。」

漠然とした「困っていること」を具体的な「解決すべき課題」に分解し、次の一歩(ネクストアクション)を一緒に決めること。それが、業務負荷やストレスに関する1on1を、単なるガス抜きで終わらせないための最も重要なポイントです。