「やる気」の先へ。部下の自発的貢献意欲を引き出す1on’1
「エンゲージメント」とは何か?モチベーションとの違い
エンゲージメントが高い状態」とは、単に「モチベーションが高い(やる気がある)」状態とは少し異なります。エンゲージメントは、仕事や組織に対して、個人の意思で貢献したいと心から願う、自発的で熱意ある愛着心のようなものです。
- 熱意(Vigor): 仕事へのエネルギーや誇りを感じている状態。
単に「元気がある」ということではありません。「仕事そのものが、自分のエネルギーの源泉になっている」という感覚です。日曜の夜に「明日から仕事か…」と憂鬱になるのではなく、「よし、明日からあの仕事を進めるぞ」と前向きな意欲が湧いてくる状態を指します。 - 没頭(Dedication): 没頭とは、仕事に強い意義ややりがいを感じ、熱心に取り組んでいる状態です。自分の仕事が重要で、挑戦しがいのあるものだと感じています。
- 活力(Absorption): 仕事に完全に集中し、夢中になっている状態です。時間が経つのを忘れるほど、楽しく仕事に取り組んでいます。
なぜ1on1がエンゲージメントを劇的に向上させるのか?
人間は、根源的に「認められたい」「重要な存在でありたい」という欲求(承認欲求)を持っています。1on1は、この根源的な欲求を、以下の3つのステップを通じて満たしていきます。
- 「一人の人間」としての承認
会社という組織の中で、従業員は時に「労働力」や「リソース」として扱われがちです。しかし、上司が定期的に時間を確保し、業務の話だけでなく、キャリアや時にはプライベートの悩みにも耳を傾ける。この「あなたという個人に関心がある」という一貫した態度は、「自分は単なる歯車ではなく、かけがえのない一人の人間として尊重されている」という強烈な承認のメッセージとなります。この感覚こそが、エンゲージメントの全ての土台です。
「成長」と「未来」への期待
人は、自分の未来に希望が持てた時に、現在の困難を乗り越える力を得ます。1on1でキャリアについて対話し、上司が部下の成長を本気でサポートする姿勢を示すことで、部下は「この会社(この上司のもと)にいれば、自分はもっと成長できる」という具体的な期待感を抱きます。自分の成長が、会社の成長とリンクしていると感じられること。これが、「やらされ仕事」を「自分ごと」へと変え、仕事への熱意と没頭を生み出します。
「貢献」への実感と「帰属意識」の醸成
1on1を通じたエンゲージメントの向上とは、単なるガス抜きやご機嫌取りではありません。上司が部下一人ひとりを「個人」として尊重し、その「未来(成長)」に投資し、日々の「貢献」を承認する。この一連のプロセスを通じて、部下の根源的な承認欲求を満たし、仕事と組織への深い愛着心を育んでいく、極めて戦略的なマネジメント活動なのです。その結果として、部下は自らの意思で能力を最大限に発揮しようと努め、組織全体のパフォーマンスを底上げする原動力となっていくのです。